直接対面しない共同制作のプロセスの記録
Documenting the process of non-face-to-face co-creation
函館短期大学紀要第49号 2022年3月発行(pp. 43-55.)
本稿は、岐阜県障がい者芸術文化支援センターが主催する「TASCぎふコラボ展」で行った、福祉施設とアーティストが直接対面せずに共同で作品を作るプロジェクト「そうぞうのパッケージ」における制作記録をまとめたものである。本プロジェクトでは、郵送で段ボール箱を送り合い、段ボール箱の内部に造形を重ねていく手法で共同制作を行った。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により対面による共同制作が困難な状況下で、直接対面をしない関係性づくりの可能性の探求を行った。身体的特徴や性別、肩書きといった個人の属性の印象に捉われずに関係性をつくることを目指し、見ず知らずの人同士が時間と空間を切り離して共同制作をする手法が生まれた。また本プロジェクトは、言語によるコミュニケーションが困難な人が参加するため、郵送による制作手法は作者間で言葉によるやりとりを強要しない方法としても有効であった。以上のことを踏まえ、①新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行による対面が難しい状況下で行う共同制作の事例、②コミュニケーションに不自由を抱える人との関係性づくりの事例、という2つの観点から共同制作の実践記録を本稿にまとめた。
Back to Top